芸術療法学会

27. Oktober 07

【学会】第39回 日本芸術療法学会

Art_therapy
 関東地方に台風が接近するなか、午後から日本芸術療法学会の会合にでかける。今年で39回目を迎えるこの学会は、精神科医や臨床心理士と、アートセラピー関係で医療や介護の現場に携わっているスタッフらとが交流できる、またとない貴重な場である。
 私の目的は、精神医療の現場で実際に臨床にあたられている精神科の先生方から、できるだけ現場での生の声をいただくことと、私が今年から名古屋芸大の芸術療法講座で試みていること、たとえば、いきなりセラピーへといくのではなく、美術史と医学史をギリシャ時代あたりから同軸で俯瞰しながら、人間の「病」や「癒し」について考察していくという試みについて、忌憚ないご意見をいただくことである。
 それからもうひとつ、今回は慶応大学アートセンターのアーカイヴズの中から、土方巽の「疱瘡譚」の一部が上映されるので、それがどうしても見たくて、台風の中、白金台の明治学院大学まで出かけた次第である。
 土方については国内外で多くの研究者がいるわりには、土方の出生、生涯については逸話も含めて諸説さまざまであり、評伝として正史といえるものは未だにないのではないか。
 また、晩年に舞踏を再開した矢先に急逝したことによって、土方の舞踏家としてのトータルな評価をどうするべきか、私自身もいまだ方向性が定まらないままである。実際に、土方の作品を、彼の故郷の東北の土着性に根ざしたものだと批評するものがいる一方で、ドイツ表現主義の影響化からの一連の流れとして見るものもいて、人によって評価がいろいろと異なるところが、土方の多面体的な面白さではある。私のように、もともとが独文圏文化に浸かって生きている人間にとっては、もちろんドイツ表現主義と土方は、非常にイメージが繋がりやすい。
 それにしても、あの横たわっていても、立っていても、常に不安定な身体は、たった1Gという重力の中でもその重力と気圧に今にも押しつぶされそうな様相で、昆虫のキチン質のような骨格が、辛うじて身体内部の内容物が外に放出されるのを防いでいるようにも見えて、緊張感極まりない。「病身」とはそういうものであろう。
 本編のディレクターズカット版は90分の作品になるそうで、機会があれば、ぜひ慶応の土方アーカイヴで拝見したいと思った。

| | Kommentare (0) | TrackBack (1)