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05. Juni 10

【ドキュメンタリー】『未確認モンスターを追え!~チュパカブラ編』(ヒストリー・チャンネル)

 現在CS放送ヒストリー・チャンネルで好評放送中の秘境ドキュメンタリー番組。
 まずは今週の番組紹介から。

1995年、プエトリコの農場の家畜が血を抜かれて死んでいるのが次々と発見された。これはチュパカブラの仕業なのだろうか。
目撃者によるとそれは2本足の鋭い爪と牙を持った爬虫類のような怪物だという。しかし最近テキサスで目撃されたのは奇形の犬のような生き物だった。番組はテキサスのチュパカブラを追う。そしてテレビではじめて、プエトリコとテキサスの目撃現場からDNA鑑定を行い、チュパカブラの正体に迫る。(ヒストリー・チャンネル番組紹介)

 これを見て何かを思い出さないだろうか。
 これこそ、最新の撮影機材と最高の撮影スタッフで挑む、現代に蘇った『川口浩探検隊スペシャル』なのである。1970年代に日本のお茶の間を席巻した川口浩探検隊についてはすでにレビューで取り上げた通りだが、(→【コラム】「水曜スペシャル川口浩探検隊シリーズにおける映像民俗学的考察」)この『未確認モンスターを追え!』という番組は、川口浩探検隊を正統に受け継ぐものである。番組では、まだ誰も見た事がない化け物を求めて秘境を探検し、事件の現場の模様を地元の人々のインタビューを交えて紹介する。
 ここに登場するのは、今回のチュパカブラをはじめ、人食いワニ、人食いチンパンジー、ビッグフッド、巨大ブタなど、人間の想像力を刺激するものばかりである。そして当然の事ながら、これらの化け物が番組の中で姿を現す事はない。我々は、番組内で証言をする被害者の村人の話や、化け物が残した足跡や歯形、暗視カメラに映る不鮮明な画像の断片を繋ぎ合せ、なんとか化け物の正体に迫ろうとする。
 実はこの、「空間」と「身体」を共有するような臨場感こそが、この類の番組の面白いところなのである。断定的ではなく余白を提示する行為、そして多少演出紛いのカメラワークは、佐藤真がそうであったように、「そもそもドキュメンタリーとは何か」、という根本的な問題も同時に提起している事に彼ら探検隊の面々は果たして気が付いているであろうか。(→参照コラム【映画】佐藤真監督『阿賀の記憶』
 つまりこの類の番組を見るにあたっての心得として、頭ごなしに「やらせ」と否定するのではなく、ドキュメンタリーというコンテクストの中にノイズとして必ず発生する揺らぎや恣意的表現も、化け物との遭遇を楽しむための「見世物小屋」的演出として認識する事なのである。

 今回登場する化け物のチュパカブラとは一体どんな化け物かといえば、その特徴は川口浩探検隊の頃から変わっていない。今でこそ、この化け物の名前はよく知られるようになったが、川口浩探検隊は、実に40年近くも前からこの化け物を追い続けていた事になる。番組を見る我々も、今度こそはと思いつつ、誰もその全容が明らかになるとは信じていない。チュパカブラに襲われた家畜の死骸や足跡などを見せられても、どうせ最後は何も出てこないだろうな、という事も分かっている。
 この予定調和的に微妙な心理は、これまで伝説として信じられてきたものに対して現代科学の視座が入り、事が明確に明示されてしまう事に対するささやかな恐れと抵抗でもあると私は認識している。これは古くは村落共同体において共有されてきた空間が何者かによって侵犯される事への不安でもある。
 一つの事例を上げれば、妖怪漫画家の水木しげるが常々言っている事だが、「現代日本には妖怪が棲める所が少なくなった」との言葉が重要である。つまりかつての汲み取り便所から水洗便所に変わり、日本家屋から「離れ」が無くなり、そして夜になっても24時間煌々と灯りが点いている空間には妖怪の棲める「闇」がないのである。「闇」のない世界とは同時に「ケ」の無い世界でもあり、我々は常に騒がしさを強要される「ハレ」の世界で生きているともいえる。言ってみれば、この「ハレ」のグローバル・スタンダートが、我々に対して多大な心身的ストレスをも与えているのだ。
 本来、この喧騒から心身を鎮めるためにも「闇」や「ケ」の空間が必要であり、その「闇」や「ケ」の空間の中で広がりを持ってきたのが説話、伝説の中で伝承されてきた化け物や八百万神の世界なのである。『遠野物語』に登場するカミサマも、太陽が照りつく空間に現れるものではない。未確認モンスターの宝庫である中米、南米ではそれに相当するのが一連のチュパカブラ伝説である。

 さて今回も、もちろんだが我々の前に、闇の中でも赤い目が光り、2本の鋭い牙を持ち、家畜の血を最後の一滴まで吸い尽くす怪物チュパカブラは正体を現さなかった。いつものとおり、村人の体験談と暗視カメラに映る不鮮明な映像と足跡だけである。最後に出てきたチュパカブラの死骸なるものも、専門家の判定の結果、疥癬症に罹り全身脱毛し、皮膚が硬化したピットブルの様な雑種犬である可能性が高い事が分かった。おそらく村の住人達も、このようなモノをチュパカブラとは認めたくはないであろう。
 そしてチュパカブラはまた伝説の闇の中に姿を消していったのである。

 次回は、アーカンソー州テキサカナの湿地帯に潜む人食いモンスターの探索である。乞うご期待!

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Kommentare

オハヨーございます☆チュパカブラ、凄く興味があります。それにしてもモスマンといい、新種生物とゆうより怪人みたいなのが多いのは、アメリカ政府がショッカーだったのでしょうか?
画像加工技術があがり、ついつい疑ってかかりますが、南極圏のヒトガタ等存在を信じたいモノがまだまだあります。
因みに…アメリカ版の嘉門達夫がいて「行け行け川口浩」的な歌は歌ってないんでしょうか?

Kommentiert von: 青空亭ガポちゃん | 06. Juni 10 um 10:25 Uhr

青空亭ガポちゃん 様

今回も残念ながらチュパカブラは見つかりませんでした。

>モスマンといい、新種生物とゆうより怪人みたいなのが多いのは、アメリカ政府がショッカーだったのでしょうか?

米政府がショッカーかどうかわかりませんが、日本の70年代のヒーロー作品に『コンドールマン』というのがあって、ここに登場する悪の組織の首領キングモンスターのアジトがエンパイアステートビルという設定でしたな。

>因みに…アメリカ版の嘉門達夫がいて「行け行け川口浩」的な歌は歌ってないんでしょうか?

昔、夏休みにN.Y.で過ごした時、オフブロードウェイの小屋でUFOや謎の生物を目撃した地元の人とCNNのキャスターをモノマネする芸人なら見た事があります。

Kommentiert von: 井上リサ | 06. Juni 10 um 11:00 Uhr

宮崎で口蹄疫が拡大している非常事態なのに
自民党は選挙延期を要請しなくてよいのでしょうか?

延期したら選挙で有利になるということよりも
国民の生活を優先させる姿勢を率先して
自民党から見せるべきだと思うのですが・・

とりあえず、私もなまごえにメールしたりMPJの在野議員
ブログにコメントさせてもらったりしていますが、
みなさんの中でも賛成してくださる方がおられましたら
自民党への要請にご協力お願いします。

Kommentiert von: june | 11. Juni 10 um 05:52 Uhr

june 様

>宮崎で口蹄疫が拡大している非常事態なのに
自民党は選挙延期を要請しなくてよいのでしょうか?

申し訳ありませんが、私は自民党員ではありませんので、私に聞かれても困ります。
あと、チュパカブラには関係ありませんから。

ブログにどんなコメントを寄せるのも皆さまの自由ですが、記事の内容と全く関係ないものを方々に書いて回られても、かえって逆効果だと思いますよ。
コメント投稿の最低限のマナーは守って下さい。

政治、経済の話はツイッターでいたしましょう。

Kommentiert von: 井上リサ | 11. Juni 10 um 08:45 Uhr

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