« 【ライブ・パフォーマンス】 詩人・伊藤洋子+ナガッチョ (銀座・ギャラリースペースQ) | Start | 【アート】デジタル・カリカチュアの時代 »

22. April 10

【パーティー】日本発,「ティー・パーティー」は草の根保守のムーブメントを起こせるか

02_2

01

03

写真は4月18日,池袋の猫カフェ貸し切りで開催された「猫もふ」ティー・パーティーの様子(撮影=井上リサ)

 5月6日に投票日を迎えるイギリス総選挙は,ここへきてじわじわと盛り上がりを見せている。その主役はイギリス自由民主党党首のニック・クレッグだ。
 これまでの自民党は,労働党と保守党の二大政党の陰に隠れた第3政党のポジションであった。しかしその前身の歴史は古く,産業革命時代に王位継承問題でトーリー党と対立したホイッグ党が自民党の前身である。シンボルカラーは金,黄,黒。TVの党首討論でクレッグ党首は必ず黄色や金色のネクタイを着用して登場する。
 自民党は,先日の3党首による第1回TV討論でも高いポイントを得て,これ以降支持率が急増し,4月21日現在,遂に労働党を蹴落として保守党に迫る勢いである。今まで政治に無関心だった英国民たちの中には“I agree with NICK”というTシャツを着たクレッグ・マニアなる人たちも登場した。
 このムーブメントを起こしているのが,いわゆるティー・パーティーと言われる草の根保守運動だ。そして保守党もこれに負けじとロンドン郊外にまでティー・パーティーを展開しており,労働党の票田の切り崩しに出ている。各党が国民と対話するオフラインの場でもアグレッシブな政策論争を展開しており,今までは安定した二大政党制の下で今ひとつ政治に無関心だった英国民をも巻き込んでいるのだ。
 ティー・パーティーの歴史は古く,その発祥は,1773年にイギリスが制定した茶税に関する法律に反対したボストン市民が行った一連の抗議行動から名づけられた市民運動である。それが現在では草の根保守の市民運動に対し、このように呼ばれるようになった。パーティー(Party)とはある共通する属性の集まりのことで、もちろん政党の事もパーティーと呼ばれる。最近では米共和党の反オバマデモ全米キャラバンで注目を集め,それが総選挙を控えたイギリスの保守党,自民党のオフライン活動にも波及したかたちだ。

 一方で日本はというと,今年になって,この英米発のティー・パーティーと言えるような草の根保守運動が,にわかに広がりだしている。そのきっかけとなったのは自民党の企画した『みんなで行こうZE!』という国民集会であろう。これは自民党の国会議員が地元の産業や文化,あるいは自分の活動と関係の深い施設などを一般国民とともに散策し,そこで食事やお酒を楽しみながら政治経済に限らずいろいろな会話をして連帯を広げる,というものである。対象はあくまでも一般日本国民であって,党員に限られたものではない。先月,馳浩衆議院議員が主催した『プロレス的政治論~日本のスポーツ振興を考える』と題した全日本プロレス観戦ツアーも盛況であった。
 実はこの『みんなで行こうZE!』という企画が立ち上がった時に私は,米共和党党員とドイツ自民党党員の友人,それからイギリスの大学で国際政治を研究している知人に向けて,「日本でもこんな事をやる政党がでてきた」と情報を送ったところ,彼ら全てが「それはやがて政党の手を離れたティー・パーティーに発展していくだろう」と予測していたのだ。
 そして彼らの予測通り,このティー・パーティーは草の根保守運動として緩やかな連帯を築きながら広がりだしている。まずその象徴的だったのは,池袋サンシャイン・クルーズで開催された経済評論家・三橋貴明の後援会発足パーティーである。ここに集まったのは,まさしく“一般国民”であった。

Photo

写真は3月21日に両国国技館で開催されたプロレス・ティー・パーティー
http://ringer.cocolog-nifty.com/kunst_und_medizin/2010/03/321-172a.html
(撮影=自民党広報部)


 従来,このような集まりは地縁,血縁,利権などで結ばれた者たちが義理で集まり,大抵は名刺交換と後援会パンフレットを配って終わるのだ。規模の小さなタウンミーティングにしても,あらかじめ自分のシンパに声をかけて“仕込み”を済ませておく。しかし,このサンシャイン・クルーズで開催されたパーティーに集まった人々は,自分で情報を集めて自由意志で来たわけである。パーティー会場にはもちろん著名な政治家,文化人の顔も散見されたが,その彼らが驚くほどに,従来の政治パーティーとは様相が異なっていたのである。
 そしてこれが後の「コスプレ・アキバ・パーティー」や,先日行われたばかりの「猫もふ集会」へと発展していくのである。この経緯をたどると,まず,『みんなで行こうZE!』という政党が企画したオフィシャルなものが存在する。そしてこれに参加した者たちが,自分たちでも何か面白い事をやりたいと思って自然発生的に始まったのが,「コスプレ・アキバ・パーティー」や「猫もふ集会」なのである。特に先日,池袋の猫カフェで,国際政治アナリストの藤井厳喜氏主催で行われた「猫もふ集会」の方は,twitter上で自然発生的に企画が生まれたものである。告知も4,5日前であったが,遠方から新幹線に乗って駆けつけた参加者もいたほどだ。
 そしてここに集った面々は,特に特定政党支持者でもなければ党員というわけでもない。政治志向としてはコンサバという人々である。これまでコンサバの人々の声を“国民の声”として正しく伝えるメディアが無かったのと,一同に集う場所も無かった。そこにこのような集会がきっかけで今回初めて顔を合わせたという状況である。

 先日のCNNでは間もなく投票日を迎えるイギリス総選挙特集で興味深い分析をしていた。米,英でティー・パーティーという草の根保守運動が成功をしたのは両国とも選挙の戸別訪問が制度として認められているので,ネットやTVのオンラインの世界と,戸別訪問でのface to faceのオフラインの世界がスムーズに繋がっているからとのことである。
 では,戸別訪問制度が認められていない日本ではどのような可能性があるかといえば,「コスプレ」,「プロレス」,「猫もふ」,といった極めてコアな属性で,緩やかな草の根保守の連帯が拡大していくことではないのか。しかもこれらのものは利権がからんだNPOや支持母体である各種組合に言われて義理や義務で集うものとは明らかに異なる。参加者みずからが楽しめるティー・パーティーは毎回リピーターが増えて,これが次第に各地に拡散,伝播されていくのである。
 そして何よりも,この日本発のティー・パーティーに集う者たちは総じて高いメディア・リテラシーで完全武装しており,既存マスコミが悪意のあるスピンをかけても,もうこの草の根保守のムーブメントを止めることは出来ないであろう。
 現在twitter上では「コスプレ・パティー」第2弾,「プロレス・ティー・パーティー~ローカル・プロレスの世界から沖縄問題を語る」,「農業ティー・パーティー~農業から政治経済・国防を語る」といったプランが自主的に立ち上がっており,これもおそらく実現するであろう。

----------------------------------------
【お知らせ】
twitterをはじめました。こちらでは政治家、経済専門家、医師、ジャーナリストらの皆さんと、わが国の外交、防衛、政治・経済、医療行政について討論をしています。

http://twitter.com/JPN_LISA
----------------------------------------    

|

« 【ライブ・パフォーマンス】 詩人・伊藤洋子+ナガッチョ (銀座・ギャラリースペースQ) | Start | 【アート】デジタル・カリカチュアの時代 »

メディア・ジャーナリズム」カテゴリの記事

Kommentare

Kommentar schreiben



(Wird nicht angezeigt.)




TrackBack

TrackBack-Adresse für diesen Eintrag:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/204825/48150495

Folgende Weblogs beziehen sich auf 【パーティー】日本発,「ティー・パーティー」は草の根保守のムーブメントを起こせるか:

« 【ライブ・パフォーマンス】 詩人・伊藤洋子+ナガッチョ (銀座・ギャラリースペースQ) | Start | 【アート】デジタル・カリカチュアの時代 »