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11. Januar 10

【トークライブ】 西村幸祐トークライブ 『ああ言えば,こうゆう!』 サブカル戦後史と反日メディア撃退作戦 (2010年1月10日,新宿ロフト・プラスワン)

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《第一部》 サブカルチャーから見た戦後日本
西村幸祐(評論家・ジャーナリスト)
杉原志啓(音楽評論家)
但馬オサム(ライター)
《ミニライブ》
出演:英霊来世-AreiRaise-
《第二部》 もう許せない!反日マスコミへの宣戦布告
西村幸祐(評論家・ジャーナリスト)
三橋貴明(作家・経済評論家)
すぎやまこういち(作曲家)
藤井厳喜(国際問題アナリスト)

 昨年,阿佐ヶ谷ロフトAで行われて大きな反響をよんだ西村幸祐トークライブの第2弾である。今回も二部構成で,途中にHIP HOPグループ英霊来世-AreiRaise-による新曲のライブも披露された。

 第一部の『サブカルチャーから見た戦後日本』では,音楽評論家の杉原志啓が洋楽とJ-POPの変遷という立場から,そしてライターの但馬オサムはサブカル史という視座から,戦後に思想史として一旦リセットされてしまった日本文化の断片を,戦前,戦中,戦後と連綿と紡がれてきた民族文化として再構築を試みた内容であった。この両者の主張によれば,日本の民族文化に一貫して通底しているのは,「オタク」というわが国特有の創意工夫の精神であり,それが例えば世界最強の工芸品である戦艦大和や円谷特撮や手塚アニメを産んでいったというわけである。
 私はクリエイターという立場からも,この二人の主張には同意する。戦前・戦中・戦後という一連の流れの中で,戦前・戦中の日本だけが「悪」であると切り捨ててリセットしようとする事自体がそもそも不自然であり,それはすなわち,日本人としての当事者性を放棄することにつながる。昨今,欧州から流入したコスモポリタン思想がリベラル層で広がりつつあり,これが「地球市民」,「地球共和国」という珍妙な畸形化言語を形成している。このような畸形化したコミュニティの住人たちは,近代的国民国家を否定しているわけだ。それゆえに,彼らが日本という国家や社会を批判する時に,批判している自分もその国家や社会を構成している国民の一人である,という当たり前の視点が欠如しているのである。
 現在,世界を席巻している日本のポップカルチャー,とりわけ,アニメ,コミック,ゲームといったコンテンツは,何も戦後に降って湧いてきた新たなムーブメントではなく,その源泉は,あきらかにわが国古来の伝統文化の中にある。そのことをよく表した本が,麻生太郎の『とてつもない日本』である。 この本は政治家が書いた本としてはたいへんに珍しく,日本文化論,現代思想に深く言及したものである。この中で麻生太郎は,日本のアニメやコミックの源流は『源氏物語絵巻』や『過去現在因果経』にあると言っている。この見方は,例えば「怪獣」というわが国が独自に産んだ異形の原点を『鳥獣戯画』などに求めるという私の考え方にほど近い。そしてこの文化の源泉は,戦前と戦後の間で断絶されたものではなく,繋がっているものであるというのが,本日のライブの第一部に登壇したパネラー諸氏の共通する主張でもある。
 また第一部では,パネラー諸氏持参による貴重な映像アーカイブも上映された。まず,杉原志啓は,パフィのPV。そして但馬オサムは戦時中に制作されたディズニーの国策アニメと,戦後にフィルムが発見された松竹映画のアニメである。但馬オサムの解説によると,ディズニーは戦時中でも莫大な時間とコストをかけ,日本アニメとは比較にならないほどにコマ数が多いそうである。それゆえに,生き物の滑らかな動きを実写のようにリアルに表現できたわけだが,だからといって日本アニメが技術的にも芸術的にも劣っていたのかというとそうではない。日本アニメは限られたコマ数の中で動きに余白を作ることで,独自の動画表現を確立してきたのである。それが後に金田伊功のような実に個性的な動画絵師が誕生する契機にもなっているということだ。
 杉原志啓により上映されたパフィのPVは,「BEEF」という楽曲のインパクトの強さに圧倒された。杉原志啓も解説で述べているが,J-POPが非常にクオリティ高く完成されたものだ。洋楽という形式をとりながらも基本的には日本文化に根ざしたグルーヴ感は,その他大勢の量産型J-POPとは明らかに異なるのがわかった。「BEEF」の最後に“外国産なんてすっこんでろ!”で終わることろが実に痛快である。

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 続く第二部は,作曲家のすぎやまこういち,経済評論家の三橋貴明,国際問題アナリストの藤井厳喜らと西村幸祐の座談会である。ここでは昨年に阿佐ヶ谷ロフトAで行われたトークライブに引き続き,日本の腐敗した昨今のマスメディアの問題が取り上げられた。
 現在のマスメディアの情況をみると,一次ソースを恣意的に編集・加工した偏向報道,捏造報道が昨年よりもましてひどくなっている。極端に特定政党に加担するような報道をする民放の朝の情報バラエティは言うまでもなく,公共放送であるNHKもその信頼は完全に失いつつある。この悪しき状況に加えて,いわゆる「報道しない自由」の行使が顕著になってきた。これは,特定政党や番組スポンサー,株主である外国企業に都合の悪いことは一切報道しない,ということである。
 例えば,実際にあった例をあげると,団塊世代の視聴者が多い民放の報道バラエティは,この心情的左翼である団塊世代に親和性のある左翼系デモは,たった20人30人規模のものでも頻繁にニュースとして取り上げるが,一方で,政治家の身に起こった献金事件や,公約違反をする政党に対する1000人規模の保守系市民団体による大規模デモは意地でも取り上げないわけである。
 このような事態の中,西村幸祐,すぎやまこういち,三橋貴明の3氏が共同で,マスメディアを国民全員で監視,検証するポータルサイト「メディア・パトロール・ジャパン」を設立するはこびとなった。本日のトークライブはその発表も兼ねたものである。サイトの本格始動は2月からで,現在は鋭意準備中であるとのこと。このサイトが,かつてハーバーマスが「公共圏論」で提唱した,市民による市民のためのパブリック・ジャーナリズム萌芽の契機になるのではないかと私は期待している。

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 前回の阿佐ヶ谷ロフトAのライブと同様に,第一部と第二部の間に,英霊来世-AreiRaise-の新曲『開戦』が披露された。英霊来世-AreiRaise-については,後日,「現代日本にHIP HOPは存在するか」という論考であらためて言及することにする。

■文中関連コラム■
【トークライブ】 西村幸祐トークライブ『ああ言えば,こうゆう』(2009年9月28日,阿佐ヶ谷ロフトA)
【書評】 麻生太郎著 『とてつもない日本』(新潮新書)
【書評】 三橋貴明著 『民主党政権で日本経済が危ない! 本当の理由』(アスコム)
【書評】 三橋貴明著 『マスゴミ崩壊~さらばレガシーメディア~』 (扶桑社)
【書評】 三橋貴明著 『新世紀のビッグブラザーへ』(PHP研究所)

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Kommentare

昔からの西村幸祐氏のファンで熱心な読者ですが、すばらしいエントリーをありがとうございます。僕はどうしても都合がつかず行けませんでしたが、このレポートを読んでよく内容が理解できました。
色々なブログで取り上げられていますが、井上先生のレポートが一番核心を突いた読み物になっていると思います。
西村氏のブログもやっと更新されたので、トラックバックを打ってください。多くの人に井上先生のレポートを読んでほしいと思っています。

Verfasst von: hide | 15. Januar 10 23:22 Uhr

hide様
西村さんのブログ情報をいただきまして、ありがとうございます。
また当方のつたないブログまで紹介して下さり、たいへんに恐縮しております。
新宿ロフトのライブは来場者が多すぎて、全員入場できずに帰られた方も多数おりました。
それだけ反響が大きかったということなのです。

しばしば「ネットVSマスメディア」という構造でいろいろなことが語られる昨今ですが、ロフトのようなアンダーグラウンドな空間も、テレビの競合相手になっていくと私は考えます。
なぜなら、クリエイターが集結しているのはこちらの空間であり、テレビより面白いコンテンツが新聞やNHK受信料程度の料金で楽しめるからです。
マスメディアはそこを甘くみていたと思います。

Verfasst von: 井上リサ | 16. Januar 10 10:00 Uhr

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verlinkt am: 19. Januar 10 15:57 Uhr

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