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13. November 09

【名古屋芸術大学・芸術療法講座】 演習 「現代の社会病理を象徴するクリーチャーを制作する」

 名古屋芸術大学芸術療法講座の講義では,「病」と「アート」の関係,「医学」と「芸術」の歴史的結びつきなどを,学生らとともに多角的に考察している。
 毎回の講義では,西洋医学史と美術史を平行して学びながら,その時代,状況によって,人類にとって「病」という存在がどのように変容をしてきたのか,という命題についても深く探っている。
 「病」と定義できるものには,大凡以下のように分類できる。
 1)内科的疾患
 2)外科的疾患
 3)精神疾患
 そしてこれに,「死の舞踏」を系譜とするメタファ(暗喩)としての美学上の「病」,それに,「社会病理的“病”」も概念として含めることができる。

 先日の芸術療法の講義では,この中で「社会病理的“病”」を取り上げた。上の動画は,その時に学生が制作した演習のスケッチをまとめたものである。

 講義ではまず,「社会病理的“病”」とはいかなるものなのかを理解するために,1970年代の日本の特撮ヒーロー番組をいくつか紹介した。
 1970年代は高度成長時代として語られることが多いが,国民全員がだんだんと豊になっていく中で,様々な社会的歪みが生まれていったという「負」の側面もある。例えば「公害」「受験地獄」「交通戦争」などという言葉が社会問題として新聞の見出しを飾るようになったのもこの時代だ。教育関係では,「ママゴン」「教育ママ」などという言葉も生まれている。
 この時代に放送された子供向けの特撮ヒーロー番組でも,この時代の社会的背景の影響を色濃く受けている作品が多々あるが,特に,『スペクトルマン』(1971~1972)や『コンドールマン』(1975)などはその最たるものである。ここに登場する数々の異形(怪獣,怪人,宇宙人,改造人間)たちは,この時代の社会病理から生まれたようなものたちが多い。
 例えば,『スペクトルマン』に登場する公害怪獣ヘドロン,交通事故怪獣クルマニクラス,地震怪獣モグネチュードン,ゴミ怪獣ダストマンなどは,同時期に放送していた円谷作品の怪獣たちとは一線を画している。
 また,ストーリーそのものがポリティカルな風刺で構成されている『コンドールマン』には,金の亡者のゼニクレージー,アラブの石油利権を独り占めにしているオイルスネーク,食肉利権まみれの政治屋の権化であるサタンガメツク,バーベQといった異色の面々が,日本国家壊滅のために暗躍する。そしてその首領であるキングモンスターはなんとアジトをNYのエンパイア・ステートビルに構えているハゲタカである。
 このような異形たちは文字通り,時代の怨念や病理が実体化したものである。

 これを踏まえて,学生らとともに『スペクトルマン』の公害怪獣ヘドロン編を視聴した後に,現代の社会病理が実体化した異形をスケッチしてもらった。怪獣,怪人のネーミングも学生自ら考えたものである。
 ネーミングをみても分かるとおり,「ニート」「ひきこもり」「鬱」「不況」「自殺」といった世相をリアルに反映したものが多く,政治家を風刺したものや,ネット環境をテーマにしたもの,行きすぎたエコロジー思想に批判を加えたものまで,実に多種多様,多彩な異形たちが勢揃いした。
 これは現代社会における「死の舞踏」,あるいは「メメント・モリ(Memento mori)」といえるであろう。

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Kommentare

仮面ライダーシリーズも、その意味では世相を反映した怪人が多かったですね。

スペクトルマン(宇宙猿人ゴリ)もそうだったんですね。


まだ生まれていませんでした…が、学童クラブに宇宙猿人ゴリのテーマのレコードがあってよく聴いてました。最後の『わたしは〜科学者〜宇宙猿人ゴリな〜の〜ぉだ〜』は、今でも頭に流れてきます。


でも、助手の名前、ラーってどうなん?と…。なんのひねりもあれへんやん、と思っていたのですが、その辺りはどうなんでしょうか。

ちなみに私が考えたのは、ショッカー系組織による、大量雇用。超ガテン系ですが、ライダーは社会的に戦いづらいかと…。

ゆくゆくは、現時点では憲法解釈的に自衛隊が派遣出来ない状況で、自衛隊に代わり民間の高度セキュリティ機関として機能させる、とか…。

例えば戦時下の在外邦人救出等。

しかもどうやら世界的組織らしいので、連携もバッチリかと。

Verfasst von: 中嶋有木 | 17. Dezember 09 20:29 Uhr

中嶋さん,こんにちは
「スペクトルマン」をご存知でしたか。
この作品は,当時の1970年代の日本の世相を反映しているすごい作品ですよ。

学童クラブに「宇宙猿人ゴリ」の歌があったということは,やはりこの作品は相当に世間に浸透していたのですね。

ところで,自衛隊に代わる組織ということでは,最近見た怪獣映画では,林家しん平監督の「深海獣雷牙」に,浅草の町を守る「台東防衛隊」という自警団がでてくるので,とても面白いですよ。
この自警団は,クラスター爆弾やF-115などを隠し持っています。

この時期は,アスリートにとっては怪我が多い時期ですから,中嶋選手もコンディションにはお気を付け下さいね。

Verfasst von: 井上リサ | 17. Dezember 09 21:22 Uhr

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