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08. November 09

【アート】 最近,前衛美術家・秋山祐徳太子がますます面白い(MXテレビ『西部邁ゼミナール』)

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 私はこの頃NHKも民放もほとんど見ていないが(つまり,日本のテレビ局の放送全般),例外的に毎週欠かさず見ているのが東京MXテレビの『西部邁ゼミナール』である。この番組は評論家の西部邁が毎回様々なジャンルの保守論客をゲストに招いて,政治・経済,文化について鼎談する番組だ。そして,西部邁と一緒にレギュラーで出演されているのが前衛美術家の秋山祐徳太子である。
 本日の放送では,自民党の衛藤晟一参議院議員を迎えて,先月亡くなった中川昭一財務大臣を偲びつつ,これからの自民党を中心とした保守政治の再生について話されていた。

 秋山祐徳太子はもちろん雅号だ。この名前を見てもわかるとおり,彼はわが国における70年代のダダイズム運動,ポップアート・シーンの,文字通り“前衛”に居続けたアーティストである。
 “前衛”芸術家が何故に保守系の論客と親交があって,しかも,自民党の政治家と一緒にそのような番組に出ているのだろうかと奇異に思う方もいるかと思うが,これがいわゆる偏見というものだ。
 この点について,以前の放送で秋山祐徳太子はこのような事を話されている。

「おかしいんだよね。自分(秋山)と会う人,会う人,“秋山さんって,意外に「保守」ですね”と言うんだ。」
「“意外に「保守」ですね”って,おかしいでしょ。」
「自分はね,作品はアヴァンギャルドだけどね,心根はね,日本を大切に思っているわけだし,親や先祖に感謝する気持ちもあるしね。」
「これってね,当たり前のことでしょう。」

 まったくそのとおりである。実は私も同様の事を何度も経験している。一番印象深いのは,2003年のとある事件である。この年は,阪神が優勝した年で,Mが点灯した時点で私は友人,知人をうちのアトリエに大勢集めて,「阪神総決起集会」を開いた。この日はたまたま旗日だったので,玄関にはタイガースの球団旗と一緒に日の丸も掲揚していたのである。そして宴もたけなわとなったところで,来場者のうち何人かの姿が見当たらないのに気づいたのだ。どうやら黙って帰ってしまったようだ。
 後から人づてに聞いた話によると,どうやら玄関にあった日の丸が気に入らなかったようである。そればかりではなく,“井上リサは「右翼」!”などと言っていたものがいたそうだ。
 これには驚いた。タイガースの旗にケチをつける読売ファンはいるかもしれないが,多少欧州風味だが一応は日本国籍を有する日本人の私が,めでたい日本の祝日に自国の国旗を掲揚するのが「右翼」だとはいかがなものか。このような事を言う人は,もう二度と日本シリーズやオリンピックも見るなと言いたい。
 この時に感じた大いなる違和感は,先のMXテレビ上での秋山祐徳太子の発言と同様なのである。どうやら世の中では,「反体制」や「反芸術」と,いわゆる「反日」を混同してしまっている輩が多いらしい。

 私が初めて秋山祐徳太子の作品を見たのは,はるか昔,1970年代にまで遡る。まだ子供時代であるにもかかわらず秋山祐徳太子のことを知っていたのは,東京都知事選挙のポスターで秋山祐徳太子を見つけたからだ。日本のダダの先駆者である秋山祐徳太子は,グリコの看板のランナーに扮して走りまわるパフォーマンスがあまりにも有名であるが,都知事選のアートもなかなか面白いのである。
 これは秋山祐徳太子が本気で都知事を目指すというよりは,「選挙」という制度をポップに破壊することが目的であろうと私はとらえている。ここで「作品」と言えるのは,選挙ポスターそものなのではなく,まず立候補届け出から始まって,ポスター製作,街頭演説,政見放送,そして選挙という選挙制度にのっとった一連の流れ自体を「行為」として提示しているのである。あえて言うと,コンセプチュアルアートのようなものだ。子供時代にこれを見せられた私は,きっと寺山修司や麿赤児のような面白い人物なんだろうと思っていた。

 それから月日はだいぶ経って,実際に秋山祐徳太子を目撃したのは2002年の事である。この年に秋山祐徳太子は著書『泡沫桀人列伝(二玄社)』の宣伝も兼ねて,阿佐ヶ谷・青梅街道の路地裏に入ったところにある小さなギャラリーで個展を行った。このオープニング・パーティーには秋山祐徳太子と昔から親交がある芸術家,評論家などが多数集まり大変に盛り上がったのである。
 まずパーティー会場には『泡沫桀人列伝』にも登場する真島直子や坂入尚文の姿があった。真島や坂入は,今は無き伝説の画廊,神田の「真木・田村画廊」の常連作家であり,「真木・田村画廊」の主人だった故・山岸信郎の呼びかけで集まったアーティストたちによる数々の野外美術展(『現場展』,『TWO WEEKS IN THE SPRING in 館山』など)では私も何度も一緒に出品している。そして西部邁や唐牛真喜子(全学連委員長・唐牛 健太郎の夫人)の姿もあった。この混沌とした空間そのものが秋山祐徳太子的ダダイズムであり,そういう私も秋山祐徳太子に喜んでもらおうと,評論家の浦達也つながりでご縁がある島ひろ子さん(全学連書記長・島成郎夫人)と一緒にこのパーティーに出かけたのであった。

 秋山祐徳太子の系譜をこうして記憶の中でたどってみると,この混沌かつポップな空間の中で,その心根にはしっかりとした脊椎が1本通っているような感じがする。そして,現在レギュラー番組を持つ西部邁とも,こんな接点があったことを思い出して,なぜあの番組に秋山祐徳太子の姿があるのかが今ようやく理解ができた。

■MXテレビ『西部邁ゼミナール』
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/
■R70 美術家・秋山祐徳太子氏公認ブログ
http://yutokutaishi-akiyama.blog.so-net.ne.jp/

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Kommentare

lovely井上様、秋山氏のブログを担当しておりますdalicoと申します。
 このたびは当方のブログをリンクして頂いたとのご連絡を頂きまして、誠に有難うございました。これからも、どうぞ宜しくお願い致します。

Kommentiert von: dalico | 09. November 09 um 10:53 Uhr

dalico 様
おこしいただき,ありがとうございます。
秋山さんは私が子供の頃から“面白い!”と思っていたアーティストなので,これからもますますのご活躍を期待しております。
ぜひお元気で!

Kommentiert von: 井上リサ | 09. November 09 um 11:17 Uhr

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