« Oktober 2009 | Start | Dezember 2009 »

November 2009

25. November 09

【緊急声明集会】 行政刷新会議「事業仕分け」関連緊急声明集会(東京大学)

 政府が進める行政刷新会議が様々な分野で波紋を呼んでいる。マスメディアでは所謂“仕分け人”と言われる人間らを,あたかも悪人に審判を下す絶対正義のヒーローのごとく面白おかしく脚色しているが,見ていて非常に不快である。“仕分け人”を煽動する国会議員らも,どれほどまでにわが国の文化・芸術,科学技術について精通しているのかも甚だ疑問である。
 このたびの一方的ともいえる事業仕分けは,文化・芸術のみならず,わが国の科学技術・産業技術の衰退をもまねきかねない愚かな行為である。これは,長きにわたり世界に誇る「技術立国」として繁栄してきたわが国の国家的アイデンティティーをも崩壊せしめるものであり,私もクリエイター,研究者双方の立場から,政府に対して断固異論を申し上げたい。

 下記は,複数の大学の理化学系研究者の方々からお知らせいただいた【緊急集会】の案内である。ノーベル賞,フィールズ賞受賞者の方々をはじめ,多くの研究者らが【声明】を寄せるそうである。理系研究者の皆様は,東京大学小柴ホールにぜひご参集されたし!

ネット中継
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/event/debate.html


【緊急声明集会】 行政刷新会議「事業仕分け」関連緊急声明集会
日時:2009年11月25日(水)18:30~19:30
場所:東京大学本郷キャンパス理学部1号館2階小柴ホール
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_25_j.html

発表者
江崎玲於奈氏(1973年ノーベル物理学賞受賞者)
利根川 進氏(1987年 ノーベル生理学・医学賞受賞者)
森 重文氏 (1990年 フィールズ賞受賞者)
野依 良治氏(2001年 ノーベル化学賞受賞者)
小林 誠氏 (2008年ノーベル物理学賞受賞者)

18:30~18:50 経緯説明
          声明発表
          ノーベル賞受賞者・フィールズ賞受賞者のコメント
18:50~19:10 記者質問
19:10~19:30 教員・学生からの質問

世話人 石井 紫郎氏 東京大学名誉教授
       勝木 元也氏 自然科学研究機構
       藤野 陽三氏 工学系研究科社会基盤学専攻

事務局 横山広美氏 東京大学大学院理学系研究科

| | Kommentare (0) | TrackBack (0)

13. November 09

【名古屋芸術大学・芸術療法講座】 演習 「現代の社会病理を象徴するクリーチャーを制作する」

 名古屋芸術大学芸術療法講座の講義では,「病」と「アート」の関係,「医学」と「芸術」の歴史的結びつきなどを,学生らとともに多角的に考察している。
 毎回の講義では,西洋医学史と美術史を平行して学びながら,その時代,状況によって,人類にとって「病」という存在がどのように変容をしてきたのか,という命題についても深く探っている。
 「病」と定義できるものには,大凡以下のように分類できる。
 1)内科的疾患
 2)外科的疾患
 3)精神疾患
 そしてこれに,「死の舞踏」を系譜とするメタファ(暗喩)としての美学上の「病」,それに,「社会病理的“病”」も概念として含めることができる。

 先日の芸術療法の講義では,この中で「社会病理的“病”」を取り上げた。上の動画は,その時に学生が制作した演習のスケッチをまとめたものである。

 講義ではまず,「社会病理的“病”」とはいかなるものなのかを理解するために,1970年代の日本の特撮ヒーロー番組をいくつか紹介した。
 1970年代は高度成長時代として語られることが多いが,国民全員がだんだんと豊になっていく中で,様々な社会的歪みが生まれていったという「負」の側面もある。例えば「公害」「受験地獄」「交通戦争」などという言葉が社会問題として新聞の見出しを飾るようになったのもこの時代だ。教育関係では,「ママゴン」「教育ママ」などという言葉も生まれている。
 この時代に放送された子供向けの特撮ヒーロー番組でも,この時代の社会的背景の影響を色濃く受けている作品が多々あるが,特に,『スペクトルマン』(1971~1972)や『コンドールマン』(1975)などはその最たるものである。ここに登場する数々の異形(怪獣,怪人,宇宙人,改造人間)たちは,この時代の社会病理から生まれたようなものたちが多い。
 例えば,『スペクトルマン』に登場する公害怪獣ヘドロン,交通事故怪獣クルマニクラス,地震怪獣モグネチュードン,ゴミ怪獣ダストマンなどは,同時期に放送していた円谷作品の怪獣たちとは一線を画している。
 また,ストーリーそのものがポリティカルな風刺で構成されている『コンドールマン』には,金の亡者のゼニクレージー,アラブの石油利権を独り占めにしているオイルスネーク,食肉利権まみれの政治屋の権化であるサタンガメツク,バーベQといった異色の面々が,日本国家壊滅のために暗躍する。そしてその首領であるキングモンスターはなんとアジトをNYのエンパイア・ステートビルに構えているハゲタカである。
 このような異形たちは文字通り,時代の怨念や病理が実体化したものである。

 これを踏まえて,学生らとともに『スペクトルマン』の公害怪獣ヘドロン編を視聴した後に,現代の社会病理が実体化した異形をスケッチしてもらった。怪獣,怪人のネーミングも学生自ら考えたものである。
 ネーミングをみても分かるとおり,「ニート」「ひきこもり」「鬱」「不況」「自殺」といった世相をリアルに反映したものが多く,政治家を風刺したものや,ネット環境をテーマにしたもの,行きすぎたエコロジー思想に批判を加えたものまで,実に多種多様,多彩な異形たちが勢揃いした。
 これは現代社会における「死の舞踏」,あるいは「メメント・モリ(Memento mori)」といえるであろう。

| | Kommentare (2) | TrackBack (0)

08. November 09

【アート】 最近,前衛美術家・秋山祐徳太子がますます面白い(MXテレビ『西部邁ゼミナール』)

02

01_2 
 私はこの頃NHKも民放もほとんど見ていないが(つまり,日本のテレビ局の放送全般),例外的に毎週欠かさず見ているのが東京MXテレビの『西部邁ゼミナール』である。この番組は評論家の西部邁が毎回様々なジャンルの保守論客をゲストに招いて,政治・経済,文化について鼎談する番組だ。そして,西部邁と一緒にレギュラーで出演されているのが前衛美術家の秋山祐徳太子である。
 本日の放送では,自民党の衛藤晟一参議院議員を迎えて,先月亡くなった中川昭一財務大臣を偲びつつ,これからの自民党を中心とした保守政治の再生について話されていた。

 秋山祐徳太子はもちろん雅号だ。この名前を見てもわかるとおり,彼はわが国における70年代のダダイズム運動,ポップアート・シーンの,文字通り“前衛”に居続けたアーティストである。
 “前衛”芸術家が何故に保守系の論客と親交があって,しかも,自民党の政治家と一緒にそのような番組に出ているのだろうかと奇異に思う方もいるかと思うが,これがいわゆる偏見というものだ。
 この点について,以前の放送で秋山祐徳太子はこのような事を話されている。

「おかしいんだよね。自分(秋山)と会う人,会う人,“秋山さんって,意外に「保守」ですね”と言うんだ。」
「“意外に「保守」ですね”って,おかしいでしょ。」
「自分はね,作品はアヴァンギャルドだけどね,心根はね,日本を大切に思っているわけだし,親や先祖に感謝する気持ちもあるしね。」
「これってね,当たり前のことでしょう。」

 まったくそのとおりである。実は私も同様の事を何度も経験している。一番印象深いのは,2003年のとある事件である。この年は,阪神が優勝した年で,Mが点灯した時点で私は友人,知人をうちのアトリエに大勢集めて,「阪神総決起集会」を開いた。この日はたまたま旗日だったので,玄関にはタイガースの球団旗と一緒に日の丸も掲揚していたのである。そして宴もたけなわとなったところで,来場者のうち何人かの姿が見当たらないのに気づいたのだ。どうやら黙って帰ってしまったようだ。
 後から人づてに聞いた話によると,どうやら玄関にあった日の丸が気に入らなかったようである。そればかりではなく,“井上リサは「右翼」!”などと言っていたものがいたそうだ。
 これには驚いた。タイガースの旗にケチをつける読売ファンはいるかもしれないが,多少欧州風味だが一応は日本国籍を有する日本人の私が,めでたい日本の祝日に自国の国旗を掲揚するのが「右翼」だとはいかがなものか。このような事を言う人は,もう二度と日本シリーズやオリンピックも見るなと言いたい。
 この時に感じた大いなる違和感は,先のMXテレビ上での秋山祐徳太子の発言と同様なのである。どうやら世の中では,「反体制」や「反芸術」と,いわゆる「反日」を混同してしまっている輩が多いらしい。

 私が初めて秋山祐徳太子の作品を見たのは,はるか昔,1970年代にまで遡る。まだ子供時代であるにもかかわらず秋山祐徳太子のことを知っていたのは,東京都知事選挙のポスターで秋山祐徳太子を見つけたからだ。日本のダダの先駆者である秋山祐徳太子は,グリコの看板のランナーに扮して走りまわるパフォーマンスがあまりにも有名であるが,都知事選のアートもなかなか面白いのである。
 これは秋山祐徳太子が本気で都知事を目指すというよりは,「選挙」という制度をポップに破壊することが目的であろうと私はとらえている。ここで「作品」と言えるのは,選挙ポスターそものなのではなく,まず立候補届け出から始まって,ポスター製作,街頭演説,政見放送,そして選挙という選挙制度にのっとった一連の流れ自体を「行為」として提示しているのである。あえて言うと,コンセプチュアルアートのようなものだ。子供時代にこれを見せられた私は,きっと寺山修司や麿赤児のような面白い人物なんだろうと思っていた。

 それから月日はだいぶ経って,実際に秋山祐徳太子を目撃したのは2002年の事である。この年に秋山祐徳太子は著書『泡沫桀人列伝(二玄社)』の宣伝も兼ねて,阿佐ヶ谷・青梅街道の路地裏に入ったところにある小さなギャラリーで個展を行った。このオープニング・パーティーには秋山祐徳太子と昔から親交がある芸術家,評論家などが多数集まり大変に盛り上がったのである。
 まずパーティー会場には『泡沫桀人列伝』にも登場する真島直子や坂入尚文の姿があった。真島や坂入は,今は無き伝説の画廊,神田の「真木・田村画廊」の常連作家であり,「真木・田村画廊」の主人だった故・山岸信郎の呼びかけで集まったアーティストたちによる数々の野外美術展(『現場展』,『TWO WEEKS IN THE SPRING in 館山』など)では私も何度も一緒に出品している。そして西部邁や唐牛真喜子(全学連委員長・唐牛 健太郎の夫人)の姿もあった。この混沌とした空間そのものが秋山祐徳太子的ダダイズムであり,そういう私も秋山祐徳太子に喜んでもらおうと,評論家の浦達也つながりでご縁がある島ひろ子さん(全学連書記長・島成郎夫人)と一緒にこのパーティーに出かけたのであった。

 秋山祐徳太子の系譜をこうして記憶の中でたどってみると,この混沌かつポップな空間の中で,その心根にはしっかりとした脊椎が1本通っているような感じがする。そして,現在レギュラー番組を持つ西部邁とも,こんな接点があったことを思い出して,なぜあの番組に秋山祐徳太子の姿があるのかが今ようやく理解ができた。

■MXテレビ『西部邁ゼミナール』
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/
■R70 美術家・秋山祐徳太子氏公認ブログ
http://yutokutaishi-akiyama.blog.so-net.ne.jp/

| | Kommentare (2) | TrackBack (0)

07. November 09

【特撮】 「ゲル長官VSミンス軍団」(作者不詳)

Ishiba01

Ishiba02

 特撮業界界隈で仕事をしているクリエイターの知人から,このようなものを頂いた。この知人の作品かと思ったらそうではなく,ネットの掲示板で拾ったものであるという。出典は,2ちゃんねる「NHK予算委員会代表質問実況スレッド」となっている。
 出典からもわかるように,これは4日に国会で行われた予算委員会の代表質問のキャプチャに加工を加えたコラージュ作品である。代表質問者に対して連日騒がしいヤジを飛ばすミンス党(民主党の愛称のようなものだ)に対し,そのヤジを手で一瞬にして制したゲル長官(石破茂さん)の様子が描かれている。実際の画像は予算委員会の代表質問の一コマであるが,ここに作者の秀逸な加工が入り,実に面白い絵が出来上がっている。(タイトルは,原作をリスペクトして私が勝手につけさせていただいた)

 かつてこのような,既存の写真,芸術作品,商業広告などに加工を加えて数々の名作を制作していたのがパロディ作家のマッド・アマノである。マッド・アマノの標的となるものは,何も時の権力だけではなく,企業の商業広告に対してもやりたい放題である。その中で,作品集『SOS』に収録された作品が,写真家・白川義員から「著作権侵害」で訴えられた事件はあまりにも有名である。
 この作品は,白川義員が撮影したアルプスを滑降するスキーヤーの写真に加工が加えられたもので,スキーヤーの後ろからブリジストンのタイヤが転がり落ちてくる,というものである。これに対して白川義員は,自分の芸術作品が侵害されたと怒ったわけである。このようなことはパロディ作家には避けて通ることはできない。

 一流のパロディとは,ただ単に対象を面白おかしく揶揄するだけではなく,そこに新たな批評性を持たせる行為である。そういう意味で,この「ゲル長官VSミンス軍団」は実に情況を良く表しているのである。
 先ごろわが国に誕生した新政権は,巷では「学級崩壊内閣」,「ブーメラン内閣」,「余命一カ月の内閣」(大ヒット上映中!)などと揶揄されて,国民からは連日笑い物になっている。これではあまりにもかわいそうなので,私の方からは,「鳩山特撮内閣」という誉ある称号を特別に与えてあげることにしたので,閣僚諸君もありがたく思っていただきたい次第である。
 「特撮内閣」の命名の根拠だが,閣僚の皆さんの面々が,昭和に華やいだアニメ,特撮ヒーロー番組に登場する華麗なる悪の首領スターたちと相似形だからである。例えば,岡田外相は『仮面ライダーX』に登場するGOD怪人コウモリフランケンやヒトデヒットラーにそっくりだし,小沢幹事長はボラー連邦(『宇宙戦艦ヤマト-3』)のベムラーゼ首相みたいだ。そして菅副総理の進める「国家戦略室」などは,さながら「地球防衛軍」か「ウルトラ警備隊」の発想であろう。
 しかし考えてみれば,怪人キノコモルグの培養液みたいな自民党旧田中派と旧社会党の“出汁”で生成されたキメラ軍団・ミンス党なのだから,この独特のクサヤの様な昭和風味の醗酵臭は癖になる人にはたまらないのであろう。
 このような背景があるからこそ,上のパロディ作品が一層の批評性を帯びてくるのである。議場一塁側から飛んでくる騒々しいヤジを制したゲル長官の手からは,何やら光線が発射され,ミンス軍団を一瞬にして殲滅している構図に見える。またもう1点の方の作品は,RPGの呪術師のような魔法陣で,ミンス軍団の攻撃を封印するゲル長官の構図に見える。そして双方とも,ゲル長官の攻撃をかわすように上体を斜めにしている松原仁さんが,これまた良い味を出しているのだ。ここに松原仁さんがいるといないとでは,まったく印象が異なる。これを見る限り,この人はまったくもって役者みたいな人だ。

 それにしてもミンス軍団のヤジはただ騒々しいだけである。マッド・アマノのようなパロディ精神もなければユーモアもない。ここで提案だが,ヤジ要員のミンス・ユーゲントならぬ,ミンス軍団私設応援団諸君は,ぜひとも阪神甲子園球場の一塁側外野席に行って,そこで一流のヤジについて勉強してきてもらいたい。ここに行けば,ヤジだけではなく,人間の様々な人生模様も体験できる。特に政経塾出身のユーゲント諸君にはこれが絶対に必要だ。極右虎党の私から申し上げて,今のミンス私設応援団には,残念ながら“猛虎魂”を感じないのだ。
 そしてこんなミンス軍団を笑い物にしている国民もまた,実はそんなに笑う資格はなかったりする。この政権を誕生させてしまったのは今笑って見ている国民である。この人たちの中には,自分が期待していた政策が行われずに,“こんなはずじゃなかった”と怒っている人たちもいるだろう。しかし人前ではけして“実はこの前の選挙で1票入れました”とは言えない。だからひたすら苦笑するしかない。言うなれば,「自民にお灸をすえたつもりが,自分が大やけどをしたでこざる」の巻,といったところである。これは小泉さんが言っていた「自己責任」だ。これが4年の歳月をかけて,まさに往年の今中のスローカーブみたいにブーメランとなって戻ってきたのである。
 しかしこういう人たちは,おそらく来年の夏頃には今までの事はすっかり無かったことにして,こう言うに違いない。

 「ジミン最高や! ミンスなんて最初からいらんかったんやー」

 だがちょっと待ってほしい。この陽気なご都合主義が,時としてあの阪神暗黒時代を招くきっかけを作ったことを我々は忘れてはいないだろうか。

| | Kommentare (0) | TrackBack (0)

04. November 09

【ライブパフォーマンス】 [辻説法コンチェルト・ザ・グレイト](11月19日)

01 02

★作曲家・高橋秀樹さんのライブパフォーマンスのお知らせ

[
辻説法コンチェルト・ザ・グレイト]

2009/11/19 木曜 

OPEN 19:00 START 19:30
【場所】歌舞伎町ゴールデンエッグ 03-3203-0405

http://www.g-egg.info/
一言で説明すると

歌舞伎町ドンキホーテの裏

徒歩20秒です

出演順】
不謹慎ズ

鈴木厚志ソロ

 表 芸

  日本では希少なブラジル音楽専門ピアニストのボサノヴァとサンバ

 裏 芸

  乞うご期待

みたあきこ

仏教説話 辻説法コンチェルト・ザ・グレイト

    [hinden] 高橋秀樹 (辻説法・各種 飛び道具)

    鈴木厚志 (ピアノ)

    坂本弘道 (チェロ)

Charge 1,000 + 1drink 500

チラシ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hinden/live/sermon/20091119_sermon.htm

ブログ
http://hinden.seesaa.net/article/128865609.html

ミクシィ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1294580002&owner_id=23976709

| | Kommentare (0) | TrackBack (0)

03. November 09

【名古屋芸術大学・芸術療法講座】 詩人・伊藤洋子インタビュー(芸術療法演習)

 現在開講中である名古屋芸術大学芸術療法講座の演習の一環として,詩人・伊藤洋子のアトリエを訪問し,学生が伊藤洋子の作品について書いたレポートをもとに約3時間におよぶインタビューを行った。
 詩人の伊藤洋子は,今から20ほど前に,当時銀座7丁目にあったギャラリー・ケルビームで自作の詩をマイクを通さず肉声で読むというポエトリー・リーディングを盛んに行っていた。伊藤洋子の舞台では,基本的には自作の詩以外を朗読するということはほとんどないが,その中で一度だけ,私の書いたドイツ語による詩を一篇だけ朗読したことがある。伊藤洋子とはこれ以来のつきあいである。
 ケルビーム時代の伊藤洋子,つまり彼女が26歳前後の頃は,自作詩の朗読と詩誌への寄稿が主な表現媒体であったが,現在のパートナーである作曲家の高橋秀樹とのセッションの中で表現媒体が広がっていき,現在ではポエトリー・リーディングに加えて,膨大な絵画の制作,ライブハウスでのパフォーミングアーツなどを精力的に行っている。
 芸術療法講座の中では,一連のアウトサイダー・アートの中で伊藤洋子の身体表現と絵画作品を取り上げた。アウトサイダー・アートの中で取り上げた理由は,伊藤洋子の絵画作品はアカデミックな空間から生まれたものではないこと。(つまり芸術においてアカデミックをインサイダーとするならば,伊藤洋子の立場はアウトサイダーであること)また,「芸術のための芸術」ではなく,「生きるための芸術」,即ち,「芸術」という行為が,「芸術」のための批評空間にただ留まるのではなく,「身体の再生」,「病からの回復」(これを伊藤洋子自身はインタビューの中でたびたび「昇華」と言っている)という強いベクトルを持っていることなどを根拠に,現在私の講義でアカデミックな事を専門的に学んでいる学生たちに,「アカデミックではない空間から立ち上がったアート」として見せたわけである。
 そして,伊藤洋子の過去10年間の代表的な作品と併せて,今年,卵巣腫瘍摘出後に制作された最新作を見た後で,学生には自由筆記の形式で伊藤洋子作品についてのレポートを書いてもらい,さらに,一人各1問,伊藤洋子に対しての質問も書いてもらった。私はその学生のレポートを持って伊藤洋子のアトリエを訪ね,伊藤洋子には学生のレポートを読んでもらいながらインタビューに答えてもらった。
 インタビューの模様は全て録画し,アーカイヴ化している。ここに上げた動画はそのダイジェスト版である。本編は再来週の講義の中で上映する予定である。

■伊藤洋子作品レビュー■
【アート】伊藤洋子個展 『卵巣の雲』(2009年8月31日~9月5日,ギャラリー代々木)

| | Kommentare (0) | TrackBack (1)

« Oktober 2009 | Start | Dezember 2009 »