【格闘技】コミックマーケットにドッグレッグス参上!(8月16日,東京ビッグサイト)
東京ビッグサイトで開催されたコミックマーケット(通称コミケ)で,今年はドッグレッグスもブースを構えて団体のPRとともに,先日の試合のDVDも限定発売された。
ドッグレッグスは,障害者の格闘家たちで結成されたプロレス団体である。このブログでも試合の模様は毎回レビュー記事にしているが,試合以外にもいろいろな活動を積極的に行っている。
この日はドッグレッグスの看板レスラーであるサンボ慎太郎選手もブースの受付に座り,DVDを購入したファンにサインをしたり,記念撮影をしたりと,ファンサービスをしてくれた。
今回限定発売されたDVDは,先日の「8・1 成城ホール大会」の模様を収録したものである。この成城ホール大会は,今まで無敵を誇っていた王者・鶴園が王座陥落したり,引退宣言をしたサンボ慎太郎がタイトルを奪取したりと,何かと波乱含みの大会であった。その時の会場の様子が蘇ってくるような内容のDVDである。
サンボ慎太郎選手がDVDにサインをしてくれたメッセージの中に,“橋をかける障害者”という言葉があった。これはあえて説明するまでもないが,ドッグレッグス結成時からリングに上がってきた慎太郎選手の生き様そのものを表している言葉である。
“橋をかける”とは,障害者と世の中との間に「橋」をかけたい,ということであろう。このような表現は福祉活動ではよく目にするヒューマニズムにあふれている。しかし,言葉にするほど生やさしいことではない。そこで起こってくる様々な困難な状況を,身体をもって世の中に表現しているのが慎太郎選手をはじめとするドッグレッグスのパイオニアたちである。
私はイデオロギーだけで「福祉」「平和」「エコ」などを唱える職業左翼やプロ市民活動家たちのことはまったくもって信用しないが,自らの言葉と身体をもって何かを必死に表現しようとしているドッグレッグスの選手たちから発せられたこのような言葉には,クリエイターとして重みを感じている。
不自由な身体をもってDVDに刻印された慎太郎選手の直筆の文字は,慎太郎選手の身体の現在の可動範囲,僅かに残る柔軟性,衰えかけている筋力すべてが集約されたカリグラフィーである。DVDディスクの無色の盤面が,あたかもドッグレッグスの白いマットの様に蘇ってくるのである。
【ドッグレッグス公式ページ】
http://homepage3.nifty.com/doglegs/
【井上リサによるドッグレッグス関連記事】
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