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10. Juli 09

【アート】 中野にマイケル・ジャクソン参上!

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 偉大なミュージシャン,M.ジャクソンがこの世を去ってからすでに1週間ほどが経過したが,全米のテレビ局でも,まだまだ彼を追悼する雰囲気は止むことはない。彼はアメリカ社会が生んだ国民的ヒーローであると同時に,現代アメリカが抱える様々な「病」を内包しているともいえる存在であった。それゆえに,彼のことはすべてのアメリカ人にとって他人事ではなく,彼の音楽をどのように評価するかに関わらず,皆,何らかのかたちで彼との関係性を持っている。だから,アメリカ社会全体が国葬級のモードになるのは当たり前である。
 翻ってわが国の場合,今までは何ら,マイケルとは関わりを持ってこなかったようなタレント,御用学者,雛壇電波コメンテーターが,各局で朝から夕刻まで垂れ流されるワイドショーで,我先にとコメントを述べているのには朝から失笑した。今本当に彼の死を悼んでいる人たちは,家やクラブで音楽をかけて,静かに喪に服しているのである。ソウルの神様JBが死んだ時もそうであったが,あの時にテレビでコメントを述べる資格があったのは,わが国を代表するブルース・シンガーである和田アキ子ぐらいだ。

 さてそんな,世の中の事象になんでもかんでも便乗して,知識人たる己を世に知らしめるのに必死な電波芸者や偽装インテリゲンチャな方々は放っておくとして,これぞまさにポップ魂炸裂!というようなものを町で偶然に見かけたので,写真を撮ってきた。
 上の写真は,JR中野駅近くの,ある民間の集合住宅風建物の外壁にペイントされていたものである。これを最初に見たのはもう先週のことになるが,JR中央線の車内でのことである。電車が中野駅を出発して下り方面へと走り出した瞬間に,突然目に入ってきたものである。遠くから見ても,それはマイケルを描いているのがすぐわかる。この日は電車から通り過ぎるだけであったが,消されはしないかと気になっていたので,昨日他に用事はないものの,わざわざ中野の現場まで出かけて撮影してきたのである。
 ここに描かれたアートは,俗に言うグラフィティと言われるものだ。グラフィティの発祥はアメリカで,その精神はヒップホップ音楽とも大いに関わっている。また,バスキアやキース・ヘリングなどのアメリカのモダンアートの作家にも影響を与えたほどのストリート・アートの一角を占めるものである。グラフィティの定義には,アカデミックなアートほどの明確な様式のルールはないが,町の公共物や共有空間にペイントしたものをこのように呼ぶ。つまるところ「落書き」なのだが,これがもし公共機関の許可をとって描かれたものであれば,それはパブリック・アートとなるわけである。
 グラフィティは,もともとヒップホップ文化と連動しているものなので,基本的に「反制度」,「反体制」的要素も内包されている。法律的に解釈すれば,公共物に落書きをした場合には器物破損ということになり,法の解釈とアートをめぐって,日本の自治体でも何度か問題が持ち上がったことがある。そもそもグラフィティの面白さとは,そのゲリラ性,メッセージ性にあるのであり,それが例え屋外の公共機関であっても最初からアートのために用意された予定調和的な空間でこのようなものを制作しても,何ら面白くない。意外なところに出現するからこそ,グラフィティというアートの存在意義があるのである。
 JR中央線の車内から見える,このマイケルの死を惜しむ作品は,どういった意図で,誰によって制作されたのかは分からないが,このようなかたちで彼の死を惜しむほうが,まさしくマイケル的であるのだ。いつまでこの作品が残っているのかわからないが,これを描いた名も無きアーティストに“ありがとう”と言いたい。

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