« 【アート】 中野にマイケル・ジャクソン参上! | Start | 【アート】 靖国神社の 「見世物小屋」(靖国神社みたままつり,7月13日~16日) »

14. Juli 09

【雑誌】 『いとをかし』 の紹介

Photo

 名古屋の老舗和菓子店「両口屋」が発行する和菓子雑誌。先月新宿文化クイントサロンで開催された,詩人で英米文学者の加島祥造さんの茶会をかねたトークショーの席で,お菓子と一緒にあみやげとしていただいたものである。
 昔でいうと,顧客や株主に向けた企業のディスクロージャー誌ということになるのであろうが,単に自社商品の紹介にとどまらず,和菓子を切り口にして,わが国日本の伝統文化全般にわたって内容の深いコラムを読むことができる。
 そのうえ,例えば金融関係のディスクロージャーなどは,財務状況,投資状況など,ひたすら数字の羅列で少々味気ないものであるが,これが和菓子屋ともなると,菓子の名の由来,和菓子作りに欠かせない道具の歴史,製法の歴史などと,とたんに味わい深いものに変わってくるのである。その他にも「和」の文化に蘊蓄のある各界の人物にもスポットを当て,その生活の中に佇む「和」のライフスタイルなども紹介している。創刊1号は先に登場の加島祥造さんである。

 今回の特集は「氷」。両口屋でこの季節に出される「室の雪」という実に美しい菓子の紹介とともに,氷にまつわる様々なコラムも読むことができる。中島満氏による『江戸のアイスロード―献上氷を運ぶ飛脚たち』は,江戸時代に金沢から江戸まで献上の氷を運んだ飛脚たちのことが詳しく書かれている。参考資料も詳しく文中に登場するので,このルートの近くを旅行した際は,資料が所蔵されている美術館や博物館も訪ね歩くことができる。
 また,雪や氷の研究で有名な科学者・中谷宇吉郎(1900~1962)のエッセイを書いているのは,中谷宇吉郎雪の科学館館長の神田健三氏。中谷宇吉郎の功績は,特にわが国の科学史や気象学といった学問に興味を持っているもの以外にはあまり知られていないかもしれないが,世界で始めて人工雪の生成に成功したのがこの中谷宇吉郎である。また一方で,中谷は雪に関するドキュメンタリー映画もいくつか制作しており,この時に立ち上げられた制作会社「中谷研究室プロダクション」は,私の縁戚にあたる写真家でドキュメンタリー作家の吉瀬昭生も所属していた「岩波映画」の前身のプロダクションである。

 巻末コラムを飾るのは,コラムニスト・谷浩志の『左党オヤジの甘口入門』。この方,男のくせに,いやオヤジのくせに,甘口ワインやお菓子の蘊蓄をたれているのがまた可笑しい。
 最近は甘い物好きの男性のことを“甘味男子”と呼ぶそうで,“この「珍獣」を世界で最初に見つけたのは自分だ!”と,まるでウォーレスの研究をこっそりいただいてしまったダーウィンみたいな事を言っているメディア風情がいるが,彼らはかつて「TVチャンピオン」を席巻していた元祖・甘味王の池田貴公子のことは多分知らないのであろうな。

■両口屋是清■
http://www.ryoguchiya-korekiyo.co.jp/

■中谷宇一郎雪の科学館■
http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/

|

« 【アート】 中野にマイケル・ジャクソン参上! | Start | 【アート】 靖国神社の 「見世物小屋」(靖国神社みたままつり,7月13日~16日) »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Kommentare

Kommentar schreiben



(Wird nicht angezeigt.)




TrackBack


Folgende Weblogs beziehen sich auf 【雑誌】 『いとをかし』 の紹介:

« 【アート】 中野にマイケル・ジャクソン参上! | Start | 【アート】 靖国神社の 「見世物小屋」(靖国神社みたままつり,7月13日~16日) »