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29. Juni 09

【現代詩】 詩人・三須康司さんを偲ぶ会が開催される(6月28日,東京銀座・藍画廊)

 6月28日,小雨の降る中,東京・銀座の藍画廊で「三須康司さんを偲ぶ会」が開かれた。詩人であり,蒲田にあった二人称画廊のオーナーであった三須康司に所縁の詩人,評論家,美術作家,画廊オーナーなどが花や飲み物,食べ物を持ち寄って集まり,夜遅くまで三須康司との思い出を語り合う催しとなった。
 午後1時から始まった「偲ぶ会」には,各界から大勢の人が入れ替わり立ち替わり訪れ,終始客足が途絶えることはなかった。ここに集まった実に多彩な面々は,皆何らかの形で三須康司と交流のあった人たちである。詩人,画家はもとより,ダンサー,演出家,パフォーマー,音楽家などの面々をみると,三須康司という人の交遊関係が実に多岐にわたっていたことがわかる。その多くは1960年代後期からの付き合いであり,わが国のかつての前衛芸術のムーブメントはもとより,60年安保,全共闘運動をも駆け抜けた時代の生き証人のような人たちである。
 また会場では,特に三須康司と交流の深かった作家の平岡ふみをが編集をした「三須康司遺稿集(序)」が配布された。この冊子は今回の「三須康司さんを偲ぶ会」のために特別に編集されたものであり,この後さらに資料を充実させて,本格的な遺稿集と,三須康司の詩を収録した「三須康司詩集」の出版が予定されている。
 「三須康司遺稿集(序)」をまとめるにあたって困難を極めたのは,二人称画廊で開催された展覧会リストの作成である。この時代は今のようにネット上のアーカイブがなかった時代であり,三須康司も亡き今は,彼に尋ねるわけにもいかず,平岡ふみをの記憶にあった作家ひとりひとりに電話をかけ,一件ずつリストアップしていくというたいへんな作業が行われたのである。その中でも現住所が分からずに連絡を取れなかった作家もいるなど,まだまだ正確なアーカイブは完成していない。
 この平岡ふみをの行為で見えてきたのは,マスなマディアとネットメディアに両極化された現代では,その双方ともに,三須康司が求めていたような「二人称」の関係はもはや存在しないということである。実際に,ネット上に広がる膨大なアーカイブの中から,過去の二人称画廊の記録はサルベージできなかったわけであるし,また一方で,60年代から美術批評のジャーナリズムを担ってきたはずの美術手帖をはじめとする美術誌も,今はその役割を担っていない。では新聞などのマスなメディアについてはどうであるかというと,当時,学芸部にいたような三須康司と同時代の記者たちはもうすでに引退しているのである。
 そもそも新聞という巨大なメディア自体が,世の中の表層の情況だけを見ることで,世の中を分かっていたような顔をしていただけで,このようなメディアが,60年代,70年代の大きなムーブメントの総体は捉えたとしても,例えば地方で散発的,ゲリラ的に興っていた芸術運動のことなど知るよしもない。これらの事柄は,唯一それに実際に関わった美術作家の頭の中に記憶としてあるだけである。少なくても三須康司や,同じく今は亡き真木画廊の山岸信郎がいた時代には,彼らとの「二人称」の関係で,その現場の記憶を共有できたのである。
 今やその共有ファイルを持ってる人間自体が少なくなり,それが過去の出来事どころか,日本の現代美術の歴史の中ですでに“無かったこと”として削除されつつあるのである。この事実を突きつけられると,三須康司の存在がいかに特異であったのかを我々はあらためて思い知るのである。
 

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