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05. August 08

【コラム】夜が明けるまで怪獣談義 in 池袋・新文芸坐(『深海獣レイゴー』祭り)

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 池袋の夜は長い! 8月2日の深夜に,落語家でインディーズ怪獣映画の監督としてご活躍の林家しん平監督の最新怪獣映画『深海獣レイゴー』(2008・インターメディア)の上映に併せて,池袋・新文芸坐でしん平監督と非常に関わりが深い皆さんでトークショーが行われた。私も末席からお邪魔させていただいた。トークショーでの内容は,さすがに営業的にもオフレコの内容が多くてここに具体的に記す事ができない。残念である。ただ確実に言えることは,来年も少なくても2本の新作怪獣映画が見れそうであるということである。しかもゴジラ,ガメラ以外の怪獣である。さらにしん平監督の次回作の制作も決定した。怪獣をデザインするデザイナーの方もすでに決まっているので,おそらく今月中には,このデザイナーの方からしん平監督へ,怪獣の第一案のスケッチが届くはずだ。
 私は以前のレビューで怪獣映画の伝統的様式美として,怪獣が日本各地の名所旧跡や新築された話題のスポットを象徴的に壊しまくることを例に挙げたが,しん平監督の次回作も,この伝統的様式美を確実に踏襲することとなろう。なぜならば,あんな場所を壊してしまう予定だからである。(あんな場所については,もちろんまだ内緒である)
 トークショーが終了したのは午前3時を過ぎた頃で,その後もパネラーの皆さんと控え室に入り,怪獣談義に花が咲く。さすがに皆さんお疲れの様子で,金子監督は午前4時ぐらいになったところで中座されたが,私は他のパネラーの方と一緒に居酒屋に場所を移動して,電車の始発が来るまで引き続き朝まで怪獣談義である。中でも特に盛り上がったのは皆さんが60年代,70年代に見ていたヒーロー番組の話題だ。『海底人ハヤブサ』,『七色仮面』,『スペクトルマン』,『マグマ大使』といった懐かしい名前が次々に出てくる。皆さん,ただ名前が出てくるだけではなく,印象的だったシーンのカメラワークまで覚えていて,どんどんヒートアップしていくからすごい。その中で非常に興味深かったのが,皆さんそれぞれ子供の頃のトラウマ・エピソードを持っているということだ。
 因みに,私が特撮ヒーロー番組で今だに一番のトラウマとなっているのは,『マグマ大使』の「青血病」と「オレンジ人食いカビ」である。「青血病」とは侵略者ゴアが地球に上陸させた怪獣ガレオンの吐く放射線の様な青い光線を浴びると,血液の赤血球が青く変色し,呼吸困難と硬直を起こして死に至るという難治性の血液疾患である。
 一方,「オレンジ人食いカビ」は,金星からやってきた宇宙怪獣キンドラの吐く宇宙カビが人間を襲うエピソードである。こちらの方は,同時期に地球に帰化した“緑の花”と言われるおそらく真菌類が天敵となり,最後はオレンジカビを退治してくれる。
 この状況をみると,オレンジカビは麹菌などの一種で,“緑の花”はペニシリンだなと,今では細菌学者フレミングの論文などを思い出しながら冷静なことを言っていられるが,子供時代に見た時は,それは恐ろしかった。しん平監督曰く,“子供の時に見て怖かったものでも,今見ると結構チャチかったりするので全然平気”ということだが,「青血病」に関しては,かの雨宮監督も,今見てもちょっとイヤかもとおっしゃっていた。特に,ガレオンの光線を浴びて全身に青い斑点が浮き出てくるシーンがやばいらしい。
 そんな雨宮監督が苦手だったのは,むしろ「人間モドキ」だそうだ。しかも,「人間モドキの歌」という歌もあったそうで,雨宮監督は苦手だったと言いながら歌詞まで覚えておられてこちらの方にも驚いてしまった。そして,その「人間モドキ」を体から吐き出すダコーダという不気味な形状をしたシュールな怪獣の話題に及んだ時,“ちょっとそこの皆さん,アキバのオタクですか”としん平監督から突っ込みが入った。これはもうホメ言葉である。雨宮監督にしてもしん平監督にしても,子供の頃から怪獣やヒーローが大好きだった世代が大人になって,今度は自分たちが怪獣を作るクリエイターになっていくというのは,わが国固有の怪獣文化が確実に継承されている証拠である。今度は我々の子供や孫の世代から,いったいどんなクリエイターが産まれてくるのか考えるだけでわくわくしてくるではないか。まさに怪獣立国ニッポンである。
 それから,俳優の螢雪次朗さんからもいろいろと役柄に対するこだわりについての面白いお話が伺えた。螢雪次朗さんは金子監督の平成ガメラ3部作や今回のレイゴーにも,ともに大迫という役名でご出演されている。この大迫という人物は行く先々で怪獣と出会ってしまうという,生まれ持ったある種の“業”のようなものを背負った人物で非常に魅力的である。それゆえに今回のようにいろいろな作品を股にかけてスピンオフしているところがなお一層のキャラ立ちを作っているように思える。
 同一のキャラクターが異なる作品にまたがって登場するというパターンは,過去にも手塚治虫,松本零士,石ノ森章太郎などがやっていたが,いずれも同じ作者の中でのことである。大迫というキャラが面白いのは,それぞれ異なる作者が大迫のキャラを大切にしながら作品に登場させていることである。この点について螢雪次朗さんは,自分としてはそれぞれの作品で独立したキャラと思って演じていたが,最近では大迫自身が役を一人歩きしていることを嬉しく思っていらっしゃるそうだ。だからなのか,螢雪次朗さんは,他の役にもまして,大迫のキャラをすごく大切に演じて下さっているようにも見える。大迫が今まで登場した作品をたどっていくと,それが即ち螢雪次朗さん自身の評伝のようなものになるのではないか。
 とにかくこんなクリエイターや役者はさがしてもそうそういるものではない。かつて日活ロマンポルノが優れた映画人を育てていったように,怪獣文化もまた,すぐれたクリエイターや役者たちを世に送り出している,ということを感じる1日であった。

【「深海獣レイゴー」レビュー】再掲2本
http://ringer.cocolog-nifty.com/kunst_und_medizin/2008/06/2008_9e74.html
http://ringer.cocolog-nifty.com/kunst_und_medizin/2008/03/post_0386.html


【トークショーに参加された皆さんの公式サイト一覧】

林家しん平監督公式サイト
http://shinpei.net/

螢雪次朗さん公式サイト
http://www.tribeca99.com/artists/hotaru.shtml

雨宮慶太監督公式サイト
http://www.crowdinc.com/

金子修介監督公式サイト
http://www.shusuke-kaneko.com/
金子修介監督公式ブログ
http://blog.livedoor.jp/kaneko_power009/
 

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Kommentare

リサさーん!
怪獣映画を作りますよー!
深海獣雷牙 対 溶岩獣王牙
ただいま色んな小物を作ってマース(*^ω^*)ノ彡

Kommentiert von: 林家しん平 | 25. August 14 um 10:17 Uhr

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