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11. August 08

【アート】京橋・藍画廊,今年の12月に20年の京橋時代に幕を下ろす。~来年からは銀座で再スタートの予定~

Newworks9_5
井上リサ 「Doctor's Hand 1994」 インスタレーション
血液製剤,ヘパリン,注射器,無菌グローブ,アクリルボックス
1994年 藍画廊



 中央区京橋で,20年間現代アートのギャラリーとして親しまれてきた藍画廊が,今年いっぱいでいったん幕を閉じることになった。
 藍画廊が1980年代後半に京橋に開廊してからの20年という歳月は,現代アートの世界では実に目まぐるしく時代が過ぎて行った時期と重なる。80年代までは,東京の主要な現代アートの画廊は銀座界隈に集まり,美術記者や評論家も,京橋から新橋あたりまでを歩きながら画廊周りをする光景をよく見かけた。あの時代に何か新しいものを見たければ,銀座にいけば見られる時代でもあった。
 かつて銀座界隈にひしめくようにあった現代アートの画廊の多くは,いわゆる「貸し画廊」と称されるものであった。これは欧米のコマーシャルギャラリーと比べても特異な状況ではある。「貸し画廊」とは,1週間,あるいは2週間ほど美術作家がそのスペースをお金を出して貸し切り,そこで自分の作品の展示を行うというものである。このシステムは既存の「貸しスペース」と変わらないではないかと言われれば,そのとおりなのだが,それでも「貸し画廊」は,新人作家たちの発表の機会を得るためのアンデパンダン的役割を果たしてきたのは事実である。映画に例えれば,優れた新人監督に上映の機会を与えているミニシアターのようなものだ。
 時代は移り変わって,わが国の現代アート業界にメディアやコマーシャリズムが入ってきた時に,画廊本来の方向性を失って,閉廊,移転をしていった画廊も数多い。そして現代アートの大きなトレンドが青山,表参道,六本木といった新規参入エリアにシフトしていってからは,銀座はかつてのような画廊街ではなくなっていった。そのような背景の中でも銀座に残ったいくつかの画廊は,画廊独自で外部に向けた様々な企画展を開催するなど,その存在意義について模索を繰り返してきた。藍画廊もそのような画廊の一つである。銀座と隣接する京橋で20年間活動を続けてきたということは,わが国の現代アートにおける末端やエッジの部分を現場で見続けてきたことを意味している。藍画廊のほぼ正方形の白いニュートラルな空間は,あらゆる作家の作品とシビアに対峙してきた空間である。藍画廊自体は移転・存続するにしても,このような空間がなくなってしまうのは少々寂しい気持ちにもなる。
 この藍画廊では,まだ少し先の話だが,藍画廊閉廊に因んで,12月の15日から『京橋3-3-8』という最後の企画展が開催される予定である。この“3-3-8”とは藍画廊の現住所であり,この企画展に出品される作品も30×30×8cm以下の作品というルールも定められている。出品作家も,今まで何らかの展覧会で藍画廊と関わりのある美術作家たちの作品が出品される。そしてこの展覧会をもって京橋時代の藍画廊はいったん幕を閉じ,来年は元「ギャラリー21+葉」(中央区銀座1-5-2)があった空間に移転し,新たにスタートを切ることになる。現在の藍画廊と「ギャラリー21+葉」の空間はまったく異なる空間である。そこでどのように,新たな空間が立ち上がっていくのかを見守りたい。

【京橋3-3-8】展
2008年12月15日(月)~24日(水)
藍画廊
〒104-0031 東京都中央区京橋3-3-8 新京橋ビル1F
Webページ http://homepage.mac.com/mfukuda2/ 

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