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12. Februar 08

【名古屋芸術大学・芸術療法講座】最終レポート「疾病論」を読み終える

 名古屋芸術大学・芸術療法講座の2007年度最終レポート「疾病論」を読み終える。
 レポートを全部読んでみて、まず特徴的であったのは、学生が研究対象にした作品がアニメ・漫画、そして映画などの映像的な作品が多かったことである。(研究対象作品のリストはこちらを参照)研究対象の選定動機などを読んでみると、「今まで何気なく見ていた作品の中に、どのような病理があるのか改めて見直してみたい」、または「“病”と“表現”あるいは“病”と“芸術”の間にどんな関係性があるのか興味がわいた」といった理由をレポートの冒頭にあげている学生が多かった。

 これは毎回講義の中で実施した小レポートの中でも散見されたことだが、例えば、「芸術療法講座を受講するまでは、“病”と“表現”、または“医学”と“芸術”が実は歴史的にも深い関係があったことをあまり知る機会がなかった」、ゆえに、「講義を終えて、今まで目にしていた作品が、また別のものに見えてきた」という講義での印象についての記述からもわかるように、普段日常的にも親しんできた作品を改めて研究対象に選び、その作品の中に通底している表現病理について分析することに至ったと私は理解している。

 もっとも多かったアニメや映画等の映像作品を研究対象にしたレポートでは、レポートの5割~6割を作品のストーリーやプロットの解説に費やしてしまっているものが多く、そこから独自の作家論や作品論を批評として展開していくことへの困難さがうかがえた。

 しかしその中でも、例えばカメラワークや照明といった1つの表現手法に的を絞り、その手法が各場面でどのような効果を果たしているのか、またどのようなメタファが存在するのかを詳細に書き込んでいるものや、漫画のコマ割り、ペンタッチなどの技法から登場人物の心理状態を分析しているものもあった。

 また、映像作品ではなく、絵画、彫刻、写真などのパーマネントな美術作品を取り上げた研究レポートの中にも、作家の年代別のコメントをひろったり、自分が継続的に注目している美術作家の展覧会記録を参考にして、まだ美術業界では評価の定まらない若手作家の作品を積極的に研究対象に選んだレポートもあった。特にこれらのレポートは、すでに多くの研究者が存在する著名な作品や作家について批評する場合とは異なり、資料の収集や参考文献の閲覧もなかなか困難がつきまとうが、そこをよくクリアし、こちらの期待以上のレポートを仕上げた学生もいる。

 なお、各レポートについての感想や評価は、順次このブログで記事にしていく予定である。

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