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19. Februar 08

金子雅和監督から新作DVDが届く

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 現在、渋谷のUPLINKで連日レイトショー上映している『すみれ人形』の金子雅和監督から、上映のお知らせとDVDが届く。
 金子監督と私の関わりを少し補足すると、2002年に旧BOX東中野(ポレポレ東中野)で特集上映された『12の眼』(http://www.12nome.com/cinema/10/10.htm)というインデペンデント映画のイベントのトークショーにゲストで呼んでいただいたことが始まりである。
 この時金子監督が上映した作品が『那美の瀬』という8mm作品であり、今でもこの作品のことは強く印象に残っている。
 『那美の瀬』は、主人公の男性が死んだ恋人の幻影を求めて、郊外を流れる二級河川から源流のある八木沢ダムあたりまでを、河に沿って歩いていくという内容であった。そしてこの映像の中で実に印象的だったのは、河川に沿って上流に上るという行為である。郊外を流れる河川は澱んでおり、その土壌も破傷風で汚染されていそうな雰囲気なのである。また、「河」という原風景は、我々日本人が古くからの因習の中で、例えば“河向こう”という言葉に象徴されるように、さまざまな身体的メタファやタブーとして作用してきた。
 私は去るトークショーでこのようなことも含めて、『那美の瀬』の中に象徴的に登場する「河」をテーマに、野村芳太郎(『震える舌』)や坂野義光(『ゴジラ対ヘドラ』)らの作品とも比較しながら、「<都市>と<河>をめぐる病の源流」というテーマで話させていただいた。それ以来、金子監督の作品にお目にかかる機会がなかなかなかったのだが、今回久しぶりに新作映画のご案内をいただいた。

 今回、劇場上映作品として第一回監督作品となる『すみれ人形』も、前作よりもさらに身体性を意識した作品のようであり、森や滝といった有機的なロケーションも強調されている。
 ここで展開されるストリーを簡単に説明すると、妹と恋人をそれぞれ失った2人の男が、かたや妹の姿を再現させる腹話術師になり、もう一方の男は、残された恋人の身体の一部を樹木で再生させようとする寓話から成り立っている。ここに浮上してくるのはやはり『那美の瀬』と同様の“癒されざる病”の姿である。人間の身体の源流を森や水源に求め、土に還ること、あるいは水に還ることを求めつつも、でも現実には失われた身体の幻影を求めて浮遊する人間の業が描かれているのだ。

 出演者もなかなか興味深い。今売出し中の若手俳優に加えて、現代美術作家の松蔭浩之、現役のストリッパーや芸人なども登場する。彼らの身体が、その“癒されざる病”あるいは“癒されざる身体”をどのように表現するのか注目である。
(渋谷・UPLINKで連日レイトショー)

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