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23. Dezember 07

【名古屋芸術大学・芸術療法講座】2007年度最終レポート「疾病論」

 本日、芸術療法講座2007年度の最終レポートが大学から郵送で届く。
 因みに2007年度の最終レポートは以下の通りである。

名古屋芸術大学芸術療法講座 「美術史から読み解く疾病論・医学概論」
【2007年度 成績評定用レポートテーマ】
「疾病論」
【概要】
視覚表現を主体とした芸術作品を1点選び、その作品の中に内在している「病」について論じて下さい。
批評対象は、美術、映画、建築、映像表現(CG、ミュージック・クリップ)、広告、デザイン、アニメーション、漫画など、視覚表現を主体とするものならば可。
【文字数】
所定の400字詰め原稿用紙×10枚

 当初、レポート・テーマの研究対象は、美術作品に限定していた。芸術療法の講義の中では、古代ギリシャ時代からポストモダンまでの西洋美術史と医学史を同時に学びながら、美術と医学、あるいはアートと医療(セラピー)の歴史的関わり、「病」の見え方、いわゆる「癒し」という行為における社会学的認識やそこに生じる差異などについて考察していくというものなので、その総括をこめて、西洋哲学、心理学、精神医学などとも関わっている「美術」に限定したわけである。
 しかし考えてみれば、今日の時代において「病」というものは、我々の身体を離れていたるところで多様な形で内在しているわけで、当然のことながら、美術という視覚表現以外にも多様な影響をもたらしているのも事実である。そのような理由から、上記のように視覚表現に限って批評範囲を広げてみたのである。
 レポートを見ると、おおよそ「病」とは結びつきそうもない作品や、すでに定型的な評価を得ている著名な作品を研究対象とした学生もいるが、実はそのような作品とあえて向き合い、異なった「読み方」を探るという方法論は、臨床学ともおおいに共通する部分もある。
 また、私はまったく予想もしていなかったのだが、インターネット巨大掲示板「2ちゃんねる」を研究対象にした学生が1名いた。「2ちゃんねる」は基本的にはテキストが集積されたメディアであり、視覚よりテキストに重心が置かれたものと理解するのが常識的だ。したがって、これを果たして「視覚表現」として定義できるかどうかは難しいところであるが、中には文字や記号の集積によって「像」を作るアスキー・アートなるものも存在し、また例えば、「2ちゃんねる」に集積されたテキストが、映画『マトリックス』のオープニング・イメージで見せたテキストのビジュアル化や、『新世紀エヴァンゲリオン』にしばしば登場する象徴的なタイトル文字のカットインの例を引用すれば、PCの画面上で展開される「2ちゃんねる」も、webメディアの視覚的コングロマリットと言えなくはないので、この「2ちゃんねる」を研究対象としたレポートも、メディア論におけるひとつの問題提起として受け取ることにした。
 それからもう一つ非常にユニークであったのが、地元の夏祭り『筒井町天王祭』についてのレポートである。このような研究対象が出てくるのもまったく予想できなかったが、これも広義の上では視覚的身体表現といっても良いであろう。しかも、この祭自体、古くから疫病退散を祈願するという目的があり、この部分に古来人々は「病」をどうとらえ、「病」とどう対峙してきたのかを民俗学的に考察する契機にもなる。
 関連することと言えば、芸術療法講座第2回の古代ギリシャ医学の「病の起源」についての講義の中で、これと対比するかたちで日本古来の人々の「病」のとらえ方について、ダニが媒介となるリケッチアの一種、「ツツガムシ」病についての説話・伝承も同時に取り上げた。そこで私は戯画で擬人化された「ツツガムシ」や、山形の農村地帯に「病除け」のために建立された祠の写真も見せたりしたので、もしそのことの意図が多少でも伝わった結果、展開されたものであるなら興味深い。

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