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28. Oktober 07

【書籍】前田富士男編「心の探究者としてのパウル・クレー」

Klee
 この論集は、2006年2月10日に、慶応義塾大学三田キャンパスで開催された国際シンポジウム「心の探究者としてのパウル・クレー」における、内外の研究者らの研究発表をまとめたものだ。このシンポジウムを主催したのは、慶応義塾大学の「心の統合的研究センター」である。これは文科省による「21世紀COEプログラム」に選定されたプロジェクトの1つである。
 慶応義塾大学は、このほかにもアートセンターや、特に近年では森下隆氏らがすすめている土方巽アーカイヴなどの活動を見てもわかるように、“開かれたキャンパス”づくりに力をいれている。これは、大学に帰属する知的財産は誰のものか? ということを考えた時に、それを前世紀の大学のように、自分たちだけでありがたがって独占するのではなく、“知的共有財産”として、内外、在野のすべての研究者らに門戸を開く、という学問的理念から立ち上がった結果であると思う。
 最近では、電車や駅の構内で、大学のオープンキャンパスのポスターを見かけるのは珍しくもなくなったが、慶応の場合、まだアーカイヴやその専門職であるアーキビストという言葉や概念が一般的に認知される以前から、このようなことに一貫して試みてきたわけで、10余年を経て、それがようやく少しずづ形になりつつあるのではないか。
 さて、この論集の内容だが、まず巻頭からカラー図版が豊富である。次いで、各論者の論文が続くが、論文は、そのほとんどが和文と独文併記である。ドイツ語学習者中級程度なら、楽しんで読むことができる。特に、クレーの評伝から彼の魂の領域まで迫ったケルステンの論文は、独文の原著で読むことをお勧めする。

前田富士男編「心の探究者としてのパウル・クレー」(慶応義塾大学 心の統合的研究センター)
【目次】
1)前田富士男 ゲシュタルトと連想-「心の探究者としてのパウル・クレー」のためのスケッチ」
2)行場次朗 心のデザイン」モデルに基づくクレー作品の考察
3)真壁宏幹 パウル・クレーと児童画-共感覚と“シンボルの受胎”
4)三脇康生 アート・戦争・精神医療-クレーの教えるもの
5)Reto Sorg Von der pathetischen zur kühlen Romantik.  Die Kunst der >Bewegung bei Aby Warburg, Carl Einstein und Paul Klee.
6)野口 薫 ゲシュタルティストとしてのパウル・クレー
7)奥田 修 「超次元的な根源の映出」としての芸術-パウル・クレーのオカルティズム
8)Wolfgang Kersten Paul Klee-Bilder der Seele

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